GCEの無料枠を活用して安価なVPNサーバを構築する①
最近旅行する予定があったので、宿泊先の無料Wi-Fiを使うためのVPNサーバをGCEで構築してみました。
今回は安価に利用できる手段を紹介し、実際の構築手順は次回以降の記事で説明します。
使用する技術
- Google Compute Engine (GCE)
- SoftEther VPN
安価にVPNを利用するには
思いつく手段としては以下の方法があります。
- 自宅LAN内にSoftEther VPNを利用したVPNサーバを構築する
- 有料VPNサービスを利用する
- VPS等にSoftEther VPNを利用したVPNサーバを構築する
自宅LAN上にVPNサーバを構築する場合
Raspberry Piなどの省電力PCにSoftEther VPNでVPNサーバを構築する方法です。
SoftEther VPNの提供するDDNS機能も含め、無料で運用できます。(電気代はかかりますが)
実は今まではこの方法で何度か構築していましたが、自宅の回線が安定しないせいか使いたい時に使用できない事がありました。
そのため、今回は選択肢から外しました。
有料VPNを利用する場合
有名なサービスを比較すると、どのサービスも長期契約するほど1か月あたりの料金は安くなります。
プラン | NordVPN | ExpressVPN | Surfshark |
---|---|---|---|
1ヵ月 | 1280円 | $12.95 | 1368円 |
6ヶ月 | $9.99/月 | ||
1年 | 527円/月 | $8.32/月 | 526円/月 |
2年 | 397円/月 | 263円/月 |
しかし、今回は旅行先の無料Wi-Fiを使うためのVPNサービスの利用を検討しているので、1ヵ月の契約ではどうしても割高になってしまいます。
自分でVPNサーバを構築する手間をかけず安全に利用したい、また常時利用や同時に複数台接続したい場合はこの方法が最善だと思います。
VPS上にVPNサーバを構築する場合
スペックにもよりますが、安いものだと月額400円程度で契約できます。
例えばAmazon Lightsailの場合、1CPU/512MBメモリ/20GB SSD/1TB転送のスペックで月額$3.50(静的IPアドレスの利用料含む)で借りることができます。
VPSの契約内容次第では、短期間の場合でも有料VPNよりも安く使うことができます。
ただし有料VPNを利用する場合と同様、月額課金のためVPNを使用しない月も料金がかかってしまうのがデメリットとなります。またサービスによっては初期費用がかかる場合もあります。
しかし、Amazon Lightsailのように試用期間のあるサービスもあるので、うまく使えば実質無料で構築できる可能性があります。
なぜGCEで構築するのか?
上記の調査結果と目的を踏まえて、今回はIaaSの一つであるGCEでVPNサーバを構築することにしました。
GCEを選んだ理由としては、従量課金制なので使用した時間分しか料金が発生しない事と、一定の無料枠がある(後述参照)ためです。
GCEの無料枠について
基本的には下記の通りのVMインスタンスを作成・運用すれば無料枠内に収まります。
項目 | 内容 |
---|---|
マシンタイプ | f1-micro(北バージニア以外の米国リージョン)× 1 |
ストレージ | 30GB/月のHDD |
スナップショット | 5GB/月(一部リージョン) |
ネットワーク | 1GB/月(米国→中国・オーストラリア以外の全リージョン宛て) |
f1-microの特徴は以下の通りとなります。
- 共有コアマシンタイプ
- 仮想CPU数:0.2
- メモリ:0.60GB
ちなみにGCPの無料枠の一覧表には書かれていませんが下記のページによると、外部静的IPアドレスについても無料枠の対象となっているようです。
Google Cloud の無料枠は、VM インスタンスで使用されている外部 IP アドレスについても提供されています。使用中の外部 IP アドレスは、当月内の合計時間数と同等の時間数を使い切るまで追加料金なしでご利用いただけます。使用量は、すべてのリージョンでの使用中の外部 IP アドレスすべての合計が集計されます。使用中の外部 IP アドレスに対する Google Cloud の無料枠は、f1-micro インスタンスだけでなく、すべてのインスタンス タイプに適用されます。
つまり、無料枠内に収まるように作成したVMインスタンスに紐づけた外部静的IPアドレスも無料で使用できるということです。
ただし何らかの理由でインスタンスを停止・削除した場合、外部静的IPアドレスも手動で開放しないと未使用状態とみなされ料金が発生するので注意しましょう。
次は実際にVPNサーバを構築していきますが、長くなるので次の記事で説明します。